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国連の今日的役割-経済・社会・文化

はじめに
-国連は、国際(国家間)コンセンサス形成(政治的論争)の場である側面と、国際ガヴァナス(問題解決政策実施)の場である側面とがある。
-国連は現在、コンセンサス形成についても、国際ガヴァナンスについても危機に直面している。
-日本の国連外交は、この双方の問題について積極的に関わることで、日本国民の総意を反映し、国益を満たし、国際貢献をすることが望ましい。

国連の経済・社会・文化システム
-国連は、グローバル政治経済・社会文化システムの中で、国家間システム・国際市民社会・底辺社会と連携して、加盟諸国家間のコンセンサスを形成し、システムのグローバルな問題解決政策を策定・実施する唯一普遍性をもつ機構である。
-国連の経済・社会(・文化)システムに関するコンセンサス形成機能は、形式的には経済社会理事会から総会のラインで行われるが、実質的には、国連全機構を挙げての、より複雑な情報収集・コミュニケーション・政治交渉のプロセスとして、漸進的に行われる。
-国連の経済・社会(・文化)システムの中でのガヴァナンス機能は、形式的には、問題別に専門諸機関や総会で設立された諸機関などによって、特定機能別に処理されるが、実質的には、より複雑な諸機関管での、また市民社会・底辺社会との協力のもとで進められる。

ポスト冷戦、グローバル時代のコンセンサス形成の危機
-経済・社会・文化問題についてのコンセンサス形成問題は、覇権対反覇権の対立、、危機的な状況に直面している。
-経済・社会・文化問題についてのコンセンサス形成問題は、国家・市民社会・大企業コンプレックスの相互対抗によって、危機的な状況に直面している。
-経済・社会・文化問題についてのコンセンサス形成問題は、底辺社会とのコミュニケーション不足によって、危機的な状況に直面している。

ポスト冷戦、グローバル時代のガヴァナンスの危機
-ネオリベラル自由放任市場主義似基づく「マッチ・ポンプ」的ガヴァナンスは、大企業との対決を回避するために、ある問題の解決で他の問題をひきおこしている。
-米欧日先進工業諸国中心のガヴァナンスは、先進工業諸国の市民社会の『人間安全保障』に重点を置くあまり、底辺社会の『人間安全保障』問題を深刻化している。
-平和構築と開発協力とのリンケージの設立努力は好ましいが、平和強制的なコンディショナリティなどが、『諸文明の衝突』を促進して、折角の国連努力を台無しにしている。

日本の国連外交の課題
-もし日米外交機軸を生かすなら、米国の覇権外交がより賢いものになるように、原則的かつ具体的な提言を繰り返すべきである。そして、議員レヴェル、市民レヴェルでの対話によって、米国世論の形成に寄与すべきである。
-日本が、先進工業諸国の一員として外交努力を展開するなら、ネオリベラリズムと一戦を画する西欧諸国、カナダやニュージーランドなどの太平洋先進諸国と中進国外交ブロックを形成して、国際ガヴァナンスが推進できるよう国連改革などにあたるべきである。 -日本が、アジアの一国としての外交を展開するなら、『諸文明の衝突』を予防する予防文化外交を展開し、国連を通じて、底辺社会を含むアジアなどの開発途上諸社会の『人間安全保障』を推進することで先進稿牛王諸国の『人間安全保障』を確立する、『共通の安全保障』政策の一部として、国連中心の経済・社会・文化政策を策定・実施すべきである。