業績
自由学校2005年1月講義:
市民がつくる国際連帯
1. 世界社会フォーラム
1.1 世界経済フォーラムと世界社会フォーラム
1.2 ムンバイで見聞きした市民と民衆の結集
1.3 2005年ポルトアレーグレの課題
2. 市民と民衆による反覇権運動
2.1 2001年ダーバンの国連反人種主義世界会議の経験
2.2 国家と安全契約を結んでいる市民と結んでいない民衆
2.3 人民の「人間の安全保障」の目指す秩序と今日の新世界無秩序
3. 可能な「もう1つの世界」
3.1 米国覇権のもとのネオリベラル・グローバル秩序の生き残り策
3.2 資本主義の次は「社会主義」という神話の次にくる反覇権の夢
3.3 国家による枠付けと草の根民衆による枠付けの矛盾的結合
4. ネオリベラル・ネオコン同盟の強さと弱さ
4.1 非暴力運動と暴力運動との分断としての反テロ戦争
4.2 サバルタン・ネオリベラル小市民の不安定な支持基盤
4.3 本質主義的倫理性の強調と実質的倫理性の欠如
5. 「可能なもう1つの世界」倫理性・政治性と神話
5.1 商品倫理・賭博場倫理に対抗する「もう1つの倫理」
5.2 暴力革命と改良主義ガヴァナンスを超えた政治性
5.3 「国家による生産手段の独占」に代わる民衆中心の政治経済
「聖徳太子学」講座:人間の安全保障
-「和」を中心にして-
1.聖徳太子の時代と現代との類比
-「人間安全共同体」の「共通の安全」という歴史を越えた枠組み。
-「姓」多文化社会における「和」という「共通の安全」の普遍性。
-西欧普遍主義社会における「個人」と「国家」の安全契約の限界。
-グローバル多文化社会における帝国安全保障と人間の安全保障。
2.鎖国日本における「和」の誤解の超克
-西欧植民地主義の外圧による多文化日本の否定。
-グローバル時代日本の排外主義に支えられた「和」の虚偽性。
-「卵どんぶり」型の新しい人種主義日本への歩み。
-聖徳太子の「和」への回帰、平和共存と平和的生存権との共時性。
3.「和」を貴しとする世界の明日
-反テロ戦争の人間不安に反対する平和的生存権と人間の安全保障。
-「和」を貴ぶ人間安全共同体を基礎にして組み上げる共通の安全。
-多様なアイデンティティを歴史の中で認め合う文明間の対話。
-聖徳太子の「和」と水平社宣言の「熱と光」の総合を目指して。
「鳥取市講演」:グローバル化時代の人権
―部落・外国人・女性の差別問題―
1. グローバル化時代の明暗
1.1 新自由主義・新保守主義のもとでのグローバル化
1.2 グローバル規模で人権に目覚める世界
1.3 日本人で固まる「和」からの発想転換の好機
1.4 人間の安全保障と平和的生存権という人権
2. 人権と取り組む覚悟
2.1 水平:部落差別との闘いを人権全体に広げる
2.2 ジェンダー:女性解放と男女共同参画でのジェンダー問題解決
2.3 グローカル:外国人は犯罪者とする悪宣伝との闘い
2.4 北京世界女性会議とダーバン反人種主義会議
3. 人はみな同じなのか違うのか
3.1 かけがいのない「個」:人権は人間が一人一人全く違うというところから
3.2 マジョリティとマイノリティ:共通の人間安全保障ということ
3.3 地域・国家・世界:実感世界と直接接触する人権行政
3.4 ポルトアレーグレの世界社会フォーラムのメッセージ
4. 人権は歴史のなかでつくられる
4.1 植民地主義の克服:ラッチ問題と在日コリアンいじめ
4.2 反テロ戦争の克服:「不法入国」外国人とくに人身売買被害者
4.3 日本中心主義の克服:多文化・ジェンダー平等による人間不安全の克服
4.4 ユネスコの反人種主義都市ネットワークへの連帯の提案
グローバル化と部落解放運動の課題
―水平社宣言と反グローバル覇権共同戦線―
1.グローバル化の三層の区別
(ア)グローバル化
国家の構成する国際社会から、地球社会への、科学技術発展に基づく世界政治 経済の移行。北南資本移動と南北労働移動の拡大、グローバル・ノースとグロ ーバル・サウスの形成を伴う。
(イ)ネオリベラル・グローバル化
国家による規制ならびに公共財の提供を最小にして、多国籍企業を中心とする 投機的なメガコンペティションを推進、貧富など各種格差の拡大を伴う。
(ウ)ネオリベラル・グローバル覇権
ネオリベラル・スローバル秩序の維持を唯一の覇権国が中心になり、先進工業 諸国の支配層、技術官僚、多国籍企業系列化諸企業ならびにこの秩序の再生産 にあたる市民による共同覇権秩序。
2.グローバル化の史的把握
(ア)ネオリベラル・グローバル化の経済・金融的構想
植民地主義余剰蓄積の最終形態。フォーディズム福祉世界を否定し、投機的大 競争を進歩の動力とするネオリベラリズムの内部矛盾と限界。反グローバル化 運動の三形態。
(イ)グローバル覇権の政治・軍事的構想
グローバル・ネオリベラリズムをテロと犯罪から保護する超「夜警国家」。グロ ーバル・ノースによるグローバル・サウスの支配の矛盾と限界。アイデンティ ティと分配の平等を、ともに否定する自由人権と民主主義の支配。
(ウ)グローバル文明の西欧中心普遍主義
近代西欧文明の終点としてのグローバル化と、人権・自由経済・植民地主義の 混合世界。反テロ戦争が提起している「文明」論の問題。普遍主義・相対主義・ 例外主義の三つ巴
3.グローバル化に対する日本国家の反応
(ア)グローバル化の南北展開と北の反応
グローバル・ノースの民主主義・人権の限界としてのグローバル秩序維持「人道」介入とグローバル「不法」労働移動阻止。
(イ)日本のグローバル国家主義と市民主義の結合
マイノリティへの日本「神国」論に基づく選択的対応と、日本のグローバル化
への排外主義的適応の矛盾と限界。均質・排外的「和」と「同和」。マジョリティ市民主義の排他性。
(ウ)日本におけるマイノリティの抱え込みと分断
ダーバン会議政府代表団と人権擁護法案に現われたマイノリティ抱え込みと分断戦略の矛盾と限界。ネオリベラル・グローバル覇権への協力の踏み絵。
4. グローバル化と水平社宣言
(ア)グローバル化のもとでのマイノリティと水平社宣言
日本「同和」国家の「いたわり」と、セーフティネット。共同社会に欠如する
個人、共同社会を軽視する市民主義「人権」とに対する水平社宣言の問題提起。
解放の担い手の特定化。
(イ)日本グローバル国家と部落解放運動
世界の水平運動はすべて差別されている人々の解放を目指している。日本的 「和」のもとでの国家・市民社会・被差別人民の間のヘゲモニー構造。グローバル覇権下の非改良主義的改良の可能性。
(ウ)反グローバル覇権共同戦線の「神話」としての水平社宣言
フォイエルバッハと浄土真宗との結合。アナキズムとボルシェヴィズムの結合。
被差別人民を中心とする、「熱」と「光」を求める反グローバル覇権共同戦線の可能性。
亡命について
1. はじめに
1.1 二重スパイの弁
1.2 人権の立場
1.3 政治の論理と人間安全保障
2. 亡命現象と南北朝鮮
2.1 朝中越境経済難民
2.2 政治亡命の第一波と第二波
2.3 陰謀説の否定可能性
3. ドイツ再統一に先行した大量亡命現象
3.1 ベルリンの壁の崩壊前後の東ドイツ
3.2 崩壊後のドイツ東部
3.3 亡命現象の二面的把握の必要性
4. 亡命の多面的把握
4.1 亡命者の保護期待権の普遍性
4.2 亡命・難民現象の政治経済学
4.3 不幸の普遍性と人間安全保障