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ナイロビ世界社会フォーラムに関する多様な視点:
(武者小路作成)
Christophe Aguitton
1.役割:
グローバル化のもとでの資本主義の犠牲になっている多様な社会セクター間の大連合をはかる。
2.国際環境:
資本主義自体が変容しているグローバルかの中で、働くものが犠牲になっており、労働組合が対応する能力を失っている。
3.活動:
北米の労組連合ORITがFTAの阻止に成功した例、小規模生産者、遊牧民を組織するエチオピア社会フォーラムの例にまなぶことができた。
フォーラムの活用における対話空間をおぎなうオルタナティヴ実践の実験の場とする試み。翻訳などにおける現地の資源の活用をさらに進めた。
4.問題:
何千ものヴォランティアを動員する開催方式は西欧やラ米では可能でも、アフリカでは困難であり、このことを十分考慮しなかったきらいがある。
5.今後:
各フォーラムにはその中心テーマをきめる特殊な背景がある。フォーラムの開催地域の特殊問題として、南米の左翼政権の台頭、インドの宗教の派閥主義やカースト差別主義への抵抗、ナイロビではエチオピアの構成のもとでのソマリアのイスラーム裁判所支配の敗退があった。これらを重視する必要がある。
Emmanuel Wallerstein
1.役割:
対話のオープン・スペース
2.国際環境:
WEF, IMF.,WTOに対する抵抗から、ネオリベラリズムの後退に伴って、攻勢に移る。
3.活動:
「もうひとつの世界」の意味、労働者の意味、農民の意味などをあきらかにすること。働くもののネットワーク、農民のネットワーク、オルタナティヴ性的志向のネットワーク、戦争反対のネットワーク、水やエイズなど個別問題に関するネットワークを組むこと。声明を発信すること。
4.問題:
北の大規模なNGOと南の戦闘的な運動との格差。従来のように対話のスペースであり続けるか、政治行動をくもうとするものを支え、ネットワークを組むことを支えるか?
5.今後:
WEFというウサギに対抗して最後に勝つ亀となること。
Samir Amin:
1.役割:
その役割はその国際環境しだいできまる。
2.国際環境:
20世紀末の民衆の闘争の集合意識をフォーラムはあらわせるかが問題
3.活動:
闘争の急進化と、多様性の中の団結
4.問題:
アジア・アフリカにおける文化主義偏向とラ米の決起。世界社会フォーラムはこれらの外部条件によってその役割がきまる。
フォーラム内では、民主主義と社会進歩をめぐる解釈の不一致が目立つ。
フォーラムにおける体制内NGOの優越性と民衆運動の限定された発言権に問題。このフォーラムの欠点は国内フォーラムにもあるが現実との密着により補なわれている。
5.今後:
もうひとつの世界の前提条件は南の民衆と諸国家の戦線形成である。しかしその困難さは文化主義偏向によって倍加している。バマコ宣言のように、これらの問題に関する対話の深化を呼びかけた。オルタナティヴのフォーラムは、この対話をすすめるシンクタンクのネットワークを作るべきである。
Roberto Savio
1. 役割:
憲章にあるとおりネオリベラルグローバル化のオルタナティヴをつくること。
2.国際環境:
政治支配層が市民社会を支持していず、腐敗と非能率的な官僚制があるアフリカで、歴史的な成功を収めた。
3.活動:
通訳や音響システムに問題があったにもかかわらず、参加者は4日間熱心な論争を続けた。
4.問題:
マスコミに対する配慮が欠けていた。その結果、フォーラムに対する国際メディアの無関心がさらに深まった。
5.今後:
ナイロビは、最初からのフォーラムの理念が支配した最後のフォーラムとなった。フォーラムの国際委員会に確信勢力が増えたことで、今後フォーラムは、対話よりも動員に力点が移る。ダヴォスにおける反対行動やG8に対する反対行動が計画されている。