1.分析の枠組みいついて、配慮すべき問題:
マスメディアの枠組は米中覇権競争について、米国覇権の現状維持が続くということと、続くことが日本の国益から望ましいという前提に立つ、現在の日本における安倍政権への右翼・左翼諸勢力の関係に関する短期な「見通し」に終始しています。
われわれは米中覇権競争を重視するべきではあるけれども、中国の習近平政権の政策が、最近10年単位の短期的な政策と最短でも100年単位の長期的な政策について両者に配慮するように見えて、その実、短期・長期の間において必ずしも明確な見解がないことを前提にした分析を進めるべきでしょう。中国共産党の内部における短期的利害と長期的展望の意見の総合は、習近平主席によって進められていることを確認しつつも、主席自身、鄧小平思想と毛沢東思想の両側面があることを理解する必要があるのです- 対日政策においても、日本の侵略主義への警戒と日本の近代化モデルへの共感の両側面の存在を前提とするように。
2.習近平中国から見た今日の世界の見え方と日本との和解の対話:
習近平主席の見ている今日の世界は、北京オリンピック開会式が魅せた中国4000年の歴史における中国文明が人類の「運命共同体」への貢献を示す華やかに各時代の素晴らしさを物語る一大イヴェントに、象徴されています。そこには、現代は人類運命共同体への中国の「王道」の寄与を実現するべき世界である、というメッセージが込められていました。習近平主席にとっても国際メディアが米中覇権競争ととらえている中米競争は、中国の王道とトランプ米国の覇道との対決と考えていることを理解する必要があります。
中国にとっての「王道」は鄧小平の中国現代化による近代化、つまりサイバー空間・宇宙空間・欧亜大陸(アジア・アフリカ)における反中国・非中国世界への「王道」の普及と毛沢東の大同世界の大目標が中心になっています。中国国外で「米中覇権競争」と呼ばれている現象は、中国では不可視化されているのです。現代は中国の人類への「王道」を実現するべき世界であり、米中覇権競争などは中国の王道とトランプ米国の覇道との対決と考える視座から、国連憲章と世界人権宣言に支えられてきた冷戦終結後の「先進工業民主主義諸国」日・米・欧の「大西洋リベラリズム」も不可視化され、それに代わる一帯一路を、中国主導で西欧にも恩恵を与えるものとして、「人類の運命共同体」を利する「王道」を進めようとしているのです。
中国がBRICS新興諸国の先頭に立っている今日、1955年の中印合意の周恩来・ネール「平和5原則」と、非西欧新興独立アジア・アフリカ諸国の「アジア・アフリカ」バンドン新興諸国会議の際の中国の立ち位置を、漸く具現化しようとしている側面があります。ただし、バンドン10原則は最初に国連憲章と世界人権宣言の尊重を打ち出しているので、人民の立場での反植民地主義・反差別の 国連人権外交を受け入れる可能性が安保理常任理事国にもあることを意味すると言える訳で、中国の「王道」の根底にある毛沢東の「大同世界」を指向する日本国憲法前文の「平和的生存権」を手がかりにするならば、中国との間で「文明間対話」が可能であり、必要ともされるでしょう。しかし安倍晋三政権下の日本は、国会を無力にする官邸中心の忖度官僚層の恩顧主義(clientelism=親分・子分主義)を使い、トランプを大親分とする形で日本の安倍晋三親分が子分(client)として日本が米国の属国(client state)になっている現状において、米日連合軍の前方基地である琉球弧を、西欧諸国との諸協定に比べて(幕末期に似た不平等条約である)相当不平等な基地協定下で米軍基地列島化している日本が、それをして対中国の圧力をかけている訳です。その結果、中国は「王道」の理想をあとまわしにして、過去の日本による侵略を上回る日米軍事・金融・科学技術圧力に対する「長征」のような長期的な覇権構想の根拠地として、一帯一路を背後に置く「根拠地」を構築する米日に対抗する意味で、サイバー空間・人工知能空間・宇宙空間・欧亜・アフリカ空間の総力戦国家への道を歩み始めていると言えるでしょう。
3.日中協力関係が世界の平和に不可欠であるという視点:
現在の世界の特色は、冷戦に勝利した日米欧「先進工業民主主義諸国」の大西洋リベラリズムに支えられた国連中心の人権・人道介入が行き付くところに行け付いた時代です。世界に民主主義と人権を外発的に普及する日米欧先進工業諸国は、反テロ戦争や恩顧主義と憎悪主義を結合させたネオ・ファシズムが台頭して、内部崩壊しています。「米」はトランプ「米国第一主義」で、移民進入防止の壁を中心とする憎悪主義・ポピュリズム勢力によって議会制民主主義が無視され、「欧」では英国の離脱と難民・移民反対の右翼勢力が台頭してウェストミインスタ-議会制民主リベラリズムが自壊。「日本」では、忖度官僚層の官邸恩顧主義のもとで、米国属国化が進行しています。そこで、日米欧にかわる新興覇権中国を中心とするBRICS諸国の台頭という非西欧世界の反西欧主義、つまりWESTへのRESTのグローバルな挑戦が起きているのです。
その中で、トランプ米国への安倍政権日本の属国化が、中国においては日米による脅威として意識されています。日中関係の歴史が繰り返す日本脅威論の固定化が、中国の「王道」からそれる「覇道」的な米中覇権競争の原因となっていることに対処する必要があります。否定できない現象である米中覇権競争は、海洋支配からサイバ―技術、宇宙開発技術・人工知能開発に広がっています。しかし一帯一路構想には、毛沢東思想の民衆中心の「大同思想」が根底にあり、シルクロードの一帯地域の隊商交易の平等互換政治経済が漢民族主義の一人歩きを矯正して、漢民族とその他の諸民族が対等に各自の個性を尊敬しあう共通の「中華民族」という中華秩序を支える「複合的なアイデンティティ」の構築を可能にしてもいるのです。習近平主席は一帯一路計画の実施について、「互学互鑑」のもとで進めると述べています。この複合的な地域を中国領域国家に縛り付けずに、中央アジアからアフリカに至る乾燥地帯諸国の平等 ・互恵の広域として共同発展させる、との文明構想なのです。しかし実際この「構想」は短期的には、中国の過剰労働力を一帯一路地域における租界に住み着かせる構想になっています。租借・租界システムの英国が用いた植民地主義侵略の問題性は、中国が最もよく知っている「王道」に悖る、「覇道」の例になりかけていることに留意する必要があります。
結果、中国の贈与経済の伝統に従って、一帯一路関係諸国の政治家や財界の中の中国へ協力を口約束する不特定多数の団体に、カネをばらまいていると「一帯一路」反対の立場のメディアから指摘されています。アジア開銀などのOECD諸国の開発協力は、経済援助・技術提携について、受け取り手の民主主義・人権などの条件(conditionality)を付けるほか、援助対象地域の民衆の意見を聴取する地域市民活動家から、受け取り手住民の開発援助に対する意見を聞き取る政策をとっています。目下、中国の一帯一路計画(AAIB資金活用)と日本が後押ししているインドの「自由で開かれた太平洋・インド洋」計画の間に連携交渉が進んでいるので、国家レベルの合意だけでなく直接両計画の開発援助を受けている地域住民の意見を汲み取る「互学互鑑」現場委員会ネットワークを作ることなどを以た住民レヴェルの参加により、「一帯一路」計画と「自由で開かれた太平洋・インド洋」計画をバンドン10原則と周恩来・ネール平和5原則に基づかせるよう、日中印三国の市民協力で保障する必要があります。
4.憎悪主義・恩顧主義ネオ・ファシズムへの非暴力レジスタンスの日中協力
そこで結論として最緊急の課題をあげるなら、トランプ・安倍晋三の憎悪主義反人権と恩顧主義(親分・子分関係)の忖度ネオ・ファシズムに対抗する非暴力レジスタンスの人民レヴェルと国家レヴェルを連動させるグローバルなレジスタンス運動を編制することが必要となるでしょう。憎悪主義・恩顧主義ネオファシズムの台頭は、冷戦後の「日米欧」単一覇権の崩壊と連動して(第一次大戦後の国際連盟西欧中心国際法秩序の崩壊がヒットラー中心のファシズム枢軸が結成されたように)、トランプ中心の「米国中心主義」による米国議会主義の機能不全、西欧からの英国離脱と加盟諸国での憎悪主義勢力の台頭、日本における安倍・麻生忖度官邸による国会無視と安倍・トランプの恩顧関係(親分・子分関係)による日本を属国とする米国の東アジアにおける「前方展開」沖縄軍事基地列島の形成、等の諸現象が連冷戦終結後の「日米欧」先進工業民主主義諸国による単一覇権世界体制の崩壊という世界システムの全面危機が生じています。そこで、ファシズム反対の非暴力レジスタンスを結集し日本の反忖度勢力と中国の王道勢力が相協力することで、中国が核軍事化・科学技術の総力戦国家化の覇道に転化することを食い止めるべきなのです。
太平洋・インド洋・大西洋を「平和の海」とし、アジア大陸をアジア・中近東・アフリカにおけるテロリズムと文明間の対決を「和解」させる「平和と和解の大陸」とすることを、中国とインドとのピラミッド型の両文明を平準化するレジスタンスという形で進める必要があります。そんな一帯地域はまた、イスラーム世界と非イスラーム世界との平和共存・平等互恵という課題とも取り組むべき地域であることを忘れてはならないことを付記します。
マスメディアの枠組は米中覇権競争について、米国覇権の現状維持が続くということと、続くことが日本の国益から望ましいという前提に立つ、現在の日本における安倍政権への右翼・左翼諸勢力の関係に関する短期な「見通し」に終始しています。
われわれは米中覇権競争を重視するべきではあるけれども、中国の習近平政権の政策が、最近10年単位の短期的な政策と最短でも100年単位の長期的な政策について両者に配慮するように見えて、その実、短期・長期の間において必ずしも明確な見解がないことを前提にした分析を進めるべきでしょう。中国共産党の内部における短期的利害と長期的展望の意見の総合は、習近平主席によって進められていることを確認しつつも、主席自身、鄧小平思想と毛沢東思想の両側面があることを理解する必要があるのです- 対日政策においても、日本の侵略主義への警戒と日本の近代化モデルへの共感の両側面の存在を前提とするように。
2.習近平中国から見た今日の世界の見え方と日本との和解の対話:
習近平主席の見ている今日の世界は、北京オリンピック開会式が魅せた中国4000年の歴史における中国文明が人類の「運命共同体」への貢献を示す華やかに各時代の素晴らしさを物語る一大イヴェントに、象徴されています。そこには、現代は人類運命共同体への中国の「王道」の寄与を実現するべき世界である、というメッセージが込められていました。習近平主席にとっても国際メディアが米中覇権競争ととらえている中米競争は、中国の王道とトランプ米国の覇道との対決と考えていることを理解する必要があります。
中国にとっての「王道」は鄧小平の中国現代化による近代化、つまりサイバー空間・宇宙空間・欧亜大陸(アジア・アフリカ)における反中国・非中国世界への「王道」の普及と毛沢東の大同世界の大目標が中心になっています。中国国外で「米中覇権競争」と呼ばれている現象は、中国では不可視化されているのです。現代は中国の人類への「王道」を実現するべき世界であり、米中覇権競争などは中国の王道とトランプ米国の覇道との対決と考える視座から、国連憲章と世界人権宣言に支えられてきた冷戦終結後の「先進工業民主主義諸国」日・米・欧の「大西洋リベラリズム」も不可視化され、それに代わる一帯一路を、中国主導で西欧にも恩恵を与えるものとして、「人類の運命共同体」を利する「王道」を進めようとしているのです。
中国がBRICS新興諸国の先頭に立っている今日、1955年の中印合意の周恩来・ネール「平和5原則」と、非西欧新興独立アジア・アフリカ諸国の「アジア・アフリカ」バンドン新興諸国会議の際の中国の立ち位置を、漸く具現化しようとしている側面があります。ただし、バンドン10原則は最初に国連憲章と世界人権宣言の尊重を打ち出しているので、人民の立場での反植民地主義・反差別の 国連人権外交を受け入れる可能性が安保理常任理事国にもあることを意味すると言える訳で、中国の「王道」の根底にある毛沢東の「大同世界」を指向する日本国憲法前文の「平和的生存権」を手がかりにするならば、中国との間で「文明間対話」が可能であり、必要ともされるでしょう。しかし安倍晋三政権下の日本は、国会を無力にする官邸中心の忖度官僚層の恩顧主義(clientelism=親分・子分主義)を使い、トランプを大親分とする形で日本の安倍晋三親分が子分(client)として日本が米国の属国(client state)になっている現状において、米日連合軍の前方基地である琉球弧を、西欧諸国との諸協定に比べて(幕末期に似た不平等条約である)相当不平等な基地協定下で米軍基地列島化している日本が、それをして対中国の圧力をかけている訳です。その結果、中国は「王道」の理想をあとまわしにして、過去の日本による侵略を上回る日米軍事・金融・科学技術圧力に対する「長征」のような長期的な覇権構想の根拠地として、一帯一路を背後に置く「根拠地」を構築する米日に対抗する意味で、サイバー空間・人工知能空間・宇宙空間・欧亜・アフリカ空間の総力戦国家への道を歩み始めていると言えるでしょう。
3.日中協力関係が世界の平和に不可欠であるという視点:
現在の世界の特色は、冷戦に勝利した日米欧「先進工業民主主義諸国」の大西洋リベラリズムに支えられた国連中心の人権・人道介入が行き付くところに行け付いた時代です。世界に民主主義と人権を外発的に普及する日米欧先進工業諸国は、反テロ戦争や恩顧主義と憎悪主義を結合させたネオ・ファシズムが台頭して、内部崩壊しています。「米」はトランプ「米国第一主義」で、移民進入防止の壁を中心とする憎悪主義・ポピュリズム勢力によって議会制民主主義が無視され、「欧」では英国の離脱と難民・移民反対の右翼勢力が台頭してウェストミインスタ-議会制民主リベラリズムが自壊。「日本」では、忖度官僚層の官邸恩顧主義のもとで、米国属国化が進行しています。そこで、日米欧にかわる新興覇権中国を中心とするBRICS諸国の台頭という非西欧世界の反西欧主義、つまりWESTへのRESTのグローバルな挑戦が起きているのです。
その中で、トランプ米国への安倍政権日本の属国化が、中国においては日米による脅威として意識されています。日中関係の歴史が繰り返す日本脅威論の固定化が、中国の「王道」からそれる「覇道」的な米中覇権競争の原因となっていることに対処する必要があります。否定できない現象である米中覇権競争は、海洋支配からサイバ―技術、宇宙開発技術・人工知能開発に広がっています。しかし一帯一路構想には、毛沢東思想の民衆中心の「大同思想」が根底にあり、シルクロードの一帯地域の隊商交易の平等互換政治経済が漢民族主義の一人歩きを矯正して、漢民族とその他の諸民族が対等に各自の個性を尊敬しあう共通の「中華民族」という中華秩序を支える「複合的なアイデンティティ」の構築を可能にしてもいるのです。習近平主席は一帯一路計画の実施について、「互学互鑑」のもとで進めると述べています。この複合的な地域を中国領域国家に縛り付けずに、中央アジアからアフリカに至る乾燥地帯諸国の平等 ・互恵の広域として共同発展させる、との文明構想なのです。しかし実際この「構想」は短期的には、中国の過剰労働力を一帯一路地域における租界に住み着かせる構想になっています。租借・租界システムの英国が用いた植民地主義侵略の問題性は、中国が最もよく知っている「王道」に悖る、「覇道」の例になりかけていることに留意する必要があります。
結果、中国の贈与経済の伝統に従って、一帯一路関係諸国の政治家や財界の中の中国へ協力を口約束する不特定多数の団体に、カネをばらまいていると「一帯一路」反対の立場のメディアから指摘されています。アジア開銀などのOECD諸国の開発協力は、経済援助・技術提携について、受け取り手の民主主義・人権などの条件(conditionality)を付けるほか、援助対象地域の民衆の意見を聴取する地域市民活動家から、受け取り手住民の開発援助に対する意見を聞き取る政策をとっています。目下、中国の一帯一路計画(AAIB資金活用)と日本が後押ししているインドの「自由で開かれた太平洋・インド洋」計画の間に連携交渉が進んでいるので、国家レベルの合意だけでなく直接両計画の開発援助を受けている地域住民の意見を汲み取る「互学互鑑」現場委員会ネットワークを作ることなどを以た住民レヴェルの参加により、「一帯一路」計画と「自由で開かれた太平洋・インド洋」計画をバンドン10原則と周恩来・ネール平和5原則に基づかせるよう、日中印三国の市民協力で保障する必要があります。
4.憎悪主義・恩顧主義ネオ・ファシズムへの非暴力レジスタンスの日中協力
そこで結論として最緊急の課題をあげるなら、トランプ・安倍晋三の憎悪主義反人権と恩顧主義(親分・子分関係)の忖度ネオ・ファシズムに対抗する非暴力レジスタンスの人民レヴェルと国家レヴェルを連動させるグローバルなレジスタンス運動を編制することが必要となるでしょう。憎悪主義・恩顧主義ネオファシズムの台頭は、冷戦後の「日米欧」単一覇権の崩壊と連動して(第一次大戦後の国際連盟西欧中心国際法秩序の崩壊がヒットラー中心のファシズム枢軸が結成されたように)、トランプ中心の「米国中心主義」による米国議会主義の機能不全、西欧からの英国離脱と加盟諸国での憎悪主義勢力の台頭、日本における安倍・麻生忖度官邸による国会無視と安倍・トランプの恩顧関係(親分・子分関係)による日本を属国とする米国の東アジアにおける「前方展開」沖縄軍事基地列島の形成、等の諸現象が連冷戦終結後の「日米欧」先進工業民主主義諸国による単一覇権世界体制の崩壊という世界システムの全面危機が生じています。そこで、ファシズム反対の非暴力レジスタンスを結集し日本の反忖度勢力と中国の王道勢力が相協力することで、中国が核軍事化・科学技術の総力戦国家化の覇道に転化することを食い止めるべきなのです。
太平洋・インド洋・大西洋を「平和の海」とし、アジア大陸をアジア・中近東・アフリカにおけるテロリズムと文明間の対決を「和解」させる「平和と和解の大陸」とすることを、中国とインドとのピラミッド型の両文明を平準化するレジスタンスという形で進める必要があります。そんな一帯地域はまた、イスラーム世界と非イスラーム世界との平和共存・平等互恵という課題とも取り組むべき地域であることを忘れてはならないことを付記します。
Comments