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賀正

 政治・軍事的にも、金融経済的にも、世界が危機の時代に入る新年のご挨拶をお受けください。国際徘徊癖の老人のたわ言にも、それなりの意味があると思って書く賀状です。

 まず、犬の年に因んで、一つの話題をとりあげます。一昨年訪れたマレーシア中部山林地帯の先住民族オラン・アスリの山村、大量消費文化に毒されていない二匹の犬に学んだ仲直りの作法、今日本が一番学ぶべきだと思っています。大きな先住民族の高床のかやぶき家屋の周りをキャンキャン喧嘩しながら駆けずっていた犬が急に静かになったので、よく見ると二匹とも、だまって10メートルはなれたところで互いに直角の方角にソッポを向きしっぽをふって、時々片目で相手のしっぽを見ていました。しっぽを振っていることをどちらもやめないことを、3分くらい確かめた後で二匹とも互いに近づき、何事もなかったように仲良くなりました。下手な弁解交じりの文句ばかリ言って、周辺諸国との喧嘩を続ける日本の政治家に、是非、マレーシャの二匹の犬たちのように文句をいわないで互いに友好的な尻尾振りをする知恵を学んでもらいたいものです。

 もうひとつ人間社会に戻って、最近観察したことを書きます。社会主義政権時代に3度だけモンゴル人民共和国を訪問した経験からの観察です。
 日馬富士関と貴の岩関の紛争を見ていると、モンゴル国の歴史の経験の重みを感じます。70年間ソ連に協力する社会主義時代と冷戦後27年間の新民主主義時代の中で、社会主義時代にも生き残った遊牧家父長主義の伝統仏教社会の人間関係を日本の相撲の世界で再現させている日馬富士関のスタイルと、社会主義時代の平等主義と冷戦後の民主化に伴って出てきた若者が対等に年長者と付き合う貴の岩関のスタイルの違いは、モンゴル国の今日の世相をよく反映しています。伝統を守りながらより平等で自由な社会を創りつつあるモンゴル国では、世代間の生活感覚の相違など苦労が絶えないようです。それにも関わらずモンゴルの市民社会は、伝統を大事にする民主主義社会を構築しようと努力しています。今回のモンゴル力士の紛争が起こった影響で日本の相撲界も、伝統を守りながらより非暴力的で平等な人間関係を受け入れるように成長していくでしょう。
 しかし日本の中では、今回の事件の背後にあるモンゴル社会の世代関係のことが全く触れられていません。今日の日本のメディア世論の閉鎖性を痛感しています。モンゴル国では、もう一つ日本で十分知られていない素晴らしい平和国家を構築していることも、もっと注目すべきでしょう。小国ながらも、中国とロシアという核大国にはさまれていることを逆に利用して、非核化宣言をして東北アジア地域の模範になっています。そういう独自の政策をとりながら、ウマク中国ともロシアとも友好関係を保っているのです。

 相撲に限らず非核化などについても、われわれ日本市民は民主主義と平和主義とをモンゴル国のクニや市民たちに学ぶべきでしょう。そうすることで2018年が日本にとって、中国とも米国とも対等につきあえる民主主義と平和主義のクニになる、新しいクニづくり元年になることを祈っています。

— posted by mushak at 12:00 am   commentComment [0]  pingTrackBack [0]